黒茶碗



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SATORU OHMAE 0FFICIAL HOMEPAGE Last Updated 2020-07-11
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大前悟/鬼ヶ島古井戸茶碗


黒茶碗
11.3×h9.2

黒茶碗つくりは手びねりということもあり、
一つの茶碗に携わる時間がとても長いです。
そして材料も特定され(私の中で黒茶碗とは聚楽土を使い、京都の鉄気の多い石を砕き釉薬の原料とします)、茶碗の形も長次郎の場合だと大きく分けて、
5、6種類が基本の形とされ、制約の中で作っていかねばならず、
いつも頭の中は悶々としていきます。
悶々としているのですが、目的はとにかく黒い茶碗を作ることです。
釉掛けは黒茶碗でなければ景色が生まれるように意識してしますが、
黒茶碗の場合は黒くすることだけに意識を集中し、
その鉄気の多い赤石を水で溶き刷毛で塗りつぶしています。
白紙の画用紙を隅々まで黒く塗りつぶすようです。
施釉で刷毛を用い塗りつぶすことは焼物の景色も塗りつぶすことになり、
自然な釉調など望めません。
結果的にゆず肌や釉薬がとろんとしたり焼きむらの変化は出ますが、
敢えて窯変など狙うものでなく、ただただ黒く…。
他の茶碗などではある程度釉の流れの配置や見所など
自分の考えを茶碗に詰め込み焼きに臨みますが、黒茶碗に関しては正反対です。
焼きは炭コークスを使い炭化状態で焼成されます。
ひたすら黒を求める工程を踏みます。

ただただ黒い茶碗が焼きたい。
感じることは黒の果てが見てみたい。