鬼ヶ島 黄 酒の器



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SATORU OHMAE 0FFICIAL HOMEPAGE Last Updated 2020-07-11
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大前悟/鬼が島黄酒の器


鬼ヶ島 黄 酒の器(番外編) オオマエサトル作

タイトルに「鬼ヶ島 黄」 としたのは、本当は黄瀬戸と書きたいのですが、
造形的に黄瀬戸ではありませんのでこの様にしました。
昨年末に全ての展覧会が終わった後、時間があったので気分転換に作りました。
趣味で作った器。
作ったきっかけは、Iさんの黄瀬戸です。
訳あってIさんの焼いた黄瀬戸が一月ばかり家にありました。
Iさんの黄瀬戸は私の思う黄瀬戸のストライクゾーンであり、
いいものだったので毎日眺めていました。
ちょっとしてみたくなり、興味本位でやってみた。
仕事に関係のない物づくりは楽しくてしょうがない。

あるギャラリーの方が最近は黄瀬戸ブームと言っていたが、私が思っている黄瀬戸にはなかなか出会わなかった。
よく目にするのが、色は黄色をしているものの、焼き締まっていないポコポコのものが多い(これは志野にも感じます。古志野、古黄瀬戸は堅そうなのに。)
何故なんだろう…。

黄瀬戸は難易度の高いもの、薪で焚いたらほとんど失敗した等という、作家の見解をよく聞いたりするが、他の焼物よりも難しく、また薪で焼くのはもっと成功率が下がる等という印象は、初回の焼きでそれっぽくなったことから感じなかった。
普段、ガス窯などで焼いていて、たまに薪窯で焼く場合の意見であることが分かった。

この黄色の釉薬は、志野釉の実験の際、溶けなかったものに灰を4割程入れただけの単純な調合です。
私が思うには、古瀬戸、黄瀬戸、志野の順番で焼物が生まれてきたので、黄瀬戸は古瀬戸と志野の間という安易な発想からの釉薬の調合です。
黄瀬戸をやってみて、古瀬戸側の焼物ではなく、ただ単に黄色い色をした志野という印象であった。
私の黄瀬戸は鬼ヶ島とあって、島の材料だけで作っています。
この土は油揚とビードロっぽい雰囲気が同じ器に出ます。梅花皮?縮れも同時に現れます。
原料選びなどもすごく難しい等々も聞きますが、これにも若干疑問が残ります(どんな焼物でも同じことでは・・・。)

岐阜の焼物に関しては織部展の開催もあり、すごく興味がわいています。この前、島在住の書画家N氏とその話になり、今度一緒に作品づくりをする約束をしました。
黄瀬戸だけというよりは、志野や黒織部などの焼物を二人で研究しようと思っています。

黄瀬戸を焼いたのは、のめり込んでいる茶道のためです。
茶会で黄瀬戸など岐阜の焼物は外せないものであり、展覧会や市場に出ていく目的で作るのではなく、ただ趣味である茶道に用いたいと思っています。
流行っているからといって作家が市場に出すというのは、私のスタンスとは違います。売れているものを追いかけ、作り、市場に流していくという考えはゲスな感じがしてイヤです。
Iさん同様、古き良き焼物があることを紹介したいという思いがあります。

黄瀬戸にはある程度の定義があります。
しかしながら、黄瀬戸というジャンルに当てはまらないものをあいまいな個性という言葉に置き換えているように感じるものもあります。例のひとつとして、伊羅保釉に近いものも見かけますが、伊羅保と黄瀬戸では原料の成分が異なり、当てはまりません。
私も島の原料で黄瀬戸を写した鬼ヶ島黄瀬戸なので、言えることではないのですが…。なんだかまた愚痴っぽくなってすみません…。
結局は私も黄金の焼物にとりつかれている一人なのです。