日々の道具 刷毛目茶碗



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日々の道具
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大前悟/扉
大前悟/扉大前悟/扉


刷毛目茶碗 (時代 李朝初期)

この茶碗はおそらく鉢として作られ、
後に茶碗として見立てられたものだ。
全体がグレーでよく見ると刷毛で化粧してある。
どの手に属するか、
いまひとつ決定打はないが箱に蕎麦茶碗と書いてある。
確かに裏返すとそんな雰囲気はあるが、
蕎麦茶碗というのは納得がいかない。
どっちつかずのものは比較的安値で購入できる。
都合が良い。
購入の決め手は高台にあった。
見所がそこに集中している。
まず高台削りは全く迷いがなくいっきに削りだされ、
気持ちよく潔さまで感じられる。
土の掘り込み方、
土をはぎとるように削るやり方は特徴的だ。
頭洞里産ではないかと思われる。
最近になって大井戸茶碗の生産地として明らかになりつつある所である。
ますますこの茶碗に好意が募る。
更に、はぎとられた高台内にかすかに梅花皮が残ってくれているところは
風格たっぷり、
かなりの男前高台だ。

何かの展示会を見にいく途中、奈良市街を車で迷っていると…。
ウィンドーからすごいものが目に飛び込んできた。
鎌倉時代の木製の狛犬がこっちを見ているではないか。
思わず一方通行をバックで逆走。
ウィンドーに釘付けになっていると、
寒さのせいか店内でもトレンチコートを着たおじいさんが声を掛けてくれた。
中へどうぞ、
子連れですからと躊躇していると、
構わんよと優しく言ってくれた。
言葉に甘えると店には怱々たる品々が並び、
このおじいさんが只者ではないのはすぐに理解できた。
子供をあやしてくれながら奥から次々と品を出してくれた。
乾山の皿を拝見していると、
これ見てみー
料理盛ってちゃんと洗わんかったから箱をネズミがかじりよった
と笑っている。
普段使いに乾山の皿、
その皿の記録や記憶を示す箱、
その箱をネズミがかじっても笑っていられる、
このおじいさんの豪快さ大物さに二歩三歩の後ずさりでは済まず、
その後のことは覚えていない。
多分そそくさと帰宅した。
最初の目的の展示会などどうでも良くなっていた。
家に着く頃にはおじいさんの豪快さに清々しく爽快であった。
それ以来作陶に行き詰り、
頭の中がムラムラ…ではないモンモン…、
こうなると手が止まり、足が奈良に向かってしまうようになった。
(二度目の訪問で茶碗をゲット!!!)
そして帰宅する頃には気分爽快、
リフレッシュ。
しかし淡路島に移り奈良に行くには遠くなり、
いつものモンモン…になると、
そそくさと茶碗のもとに向かい高台を眺める変な状態である。

また今日も暑さのせいかムラムラ…。
ろくろ場から台所を経由、最短コース、
茶碗のもとへ。
途中、薄着のうちの奥さんをあっさり通過。
「泥んこ姿でうろうろせんといて~!!」
夏場の僕は…。
「ほっといて~」